こんにちは、リンガルボックスの手島(@atsuhio)です。
80000 Hoursとは
本日紹介する、「80000 Hours」は、創業者始め、オックスフォード大学の教授、博士など錚々たるメンバーが監修、アドバイザーを勤める、信頼性の高いキャリアアドバイスサイトです。個人の寄付から成り立っている非営利団体で、企業からのスポンサーも受けないし、広告も配信していない、というのも信頼が置けるポイントです。
このサイトのメルマガには10万人以上が登録しており、登録すると12のキャリアガイドを無料で受け取ることが出来ます。 サイト上でもこれらのガイドを読むことが出来るので、本日は一番最初のガイドである、”What makes for a dream job?”について簡単に概要を紹介します。直感はあてにならない
このガイドの中では、過去20年60以上の研究結果を調べた結果、夢の仕事には6つの要素があることが分かったそうです。この6つの要素の中には「収入」は含まれません。また、単に自分のやりたいこと、情熱が注げることをするのが夢の仕事というほど単純なものでもないそうです。
ハーバード大学の研究によると、人は何が自分のことを幸せにするのか予測するのが想像以上に苦手だそうです。だから自分はこんな仕事が出来たら幸せになれる、と信じてそれを達成したとしても、やってみると思ったのと違ったという結果になることがままあるということです。 また「終わりよければ全てよし」という言葉が指すとおり、人は過去の体験が自分にとって良いものだったかどうかを終わりだけで判断しがち、だったりするため単純な直感はあまり信頼できないそうです。「収入が高く、ストレスが少ない=幸せ」ではない
より高収入を得ることによる幸せへの貢献度は低い
ガイドによると、多くの人は収入が高いこと、仕事上のストレスが少ないことを非常に重要視しているそうです。しかし、過去の研究によると、収入が高いことは人を幸せにつながるが、その貢献度はある一定のライン(アメリカなら世帯年収7万5000ドル程度)を超えると、ほぼ横ばいになります。また、健康であることも幸せの要素や収入の安定要素であることを考えると、収入をもっと上げるために、よりハードに働くという選択をするメリットは少ないとしています。
また世帯年収800万円というのは独身であれば、年収4万ドル(440万円)程度です。ただ、これは2009年のデータなので今なら45000ドル程度、住んでるのが都会であれば50%程度多く考えた方がいいし、田舎なら30%程度下げたほうがよいということです。都会住まいなら独身で68000ドル程度(750万円)、田舎なら32000ドル程度(約350万円)をまずは目指すべきということですね。 アメリカの場合は、大卒の平均年収が77000ドル程度だそうで、そうするとほとんどの大卒者はこの条件を満たすことになり、あえてそこから収入を上げても幸せ度への貢献は低いと結論付けています。ストレスの低い楽な仕事を目指すべきではない
ほとんどの人は、ストレスのない仕事をしたいと思っており、以前はこれが正しいと考えられてましたが、最近の研究では、ストレスと幸せ度の関係はもっと複雑であることが分かっています。
結論から言うと、単純にストレスが低い仕事を選べば、その仕事は退屈なものになることが多いためよくありません。またあまりにストレスの大きな仕事は、不安を呼び起こしてしまいます。 大事なのは、自分の今持っているスキルよりも、ちょっと背伸びしないと出来ないゾーン(ストレッチゾーン)の仕事をすることです。キャリアの幸福度を決める6つの要素とは
1. 時間を忘れられるぐらい熱中出来ることをする
この要素にとって重要なのは、
- 自分の裁量でどう仕事を進めるか選べるか
- タスクの内容はクリアか
- タスクの種類が様々か
- 適切なフィードバックは得られるか
の4つとのことです。
2. 人のためになる仕事をする
ファッションデザイナーやテレビディレクターのような仕事より、例えば消防士や看護師、医師などより直接人のためになっていると実感しやすい仕事のほうがより満足度が高いということが分かっているそうです。また、ボランティア活動をしている人はそうでない人に比べて落ち込みづらく健康的だといいます。
3. 自分の得意なことをする
自分の得意なことをすることで、より達成感を感じやすくなります。また得意な仕事であるほど周りにも認めてもらいやすく、自分の熱中出来ることに集中できる環境が得やすくなります。
例え、自分が情熱を注げることであってもそれが自分の得意なことでなければ幸せにはなりづらいつまらない仕事をすることになりがちであり幸福度は上がりません。4. 自分をサポートしてくれる同僚の存在
研究によると、自分がなにか問題に直面した時にサポートしてくれる人が周りにいるかどうかが、仕事の満足度を大きく左右すると分かったそうです。
例えば熱中出来る仕事をしていたとしても、酷い上司が存在してたり、周りのサポートが得られないのであれば幸福度は下がります。逆につまらない仕事でも、周りに友人がいれば楽しい仕事に変わることもあります。5. 大きなネガティブ要素が少ないこと
長い通勤時間、長時間労働、不当に低いと思えるような給与、不安定な仕事、といったネガティブな要素は仕事の満足度低下に繋がります。
6. 本業以外でやりたいことに集中することを可能にする仕事
本業としている仕事だけが、自分の幸福度に貢献するわけではありません。アインシュタインが最も高い成果を上げていたのは、特許事務所で働いていたときだそうです。こうしたサイドプロジェクトにもっと力を入れたいという人は、そのスタイルに合わせられる仕事を見つけるのもいいとのことです。
自分の情熱に従うべきか?
「情熱に従おう」というメッセージには魅力があります。しかし、情熱に従って仕事を選んだとしても、上記の6要素が満たされていない仕事だと満足度は低くなります。
実際のところ、自分の情熱に従って仕事を選ぼうとするほど、6つの要素が満たされる確率は低くなります。なぜなら自分が情熱を持てることというのは、多くの人が情熱を持てることである可能性が高いため、競争率が最も高く、良い仕事が見つけづらいからです。 また情熱に従おうとすれば、仕事の選択肢が必要以上に狭まってしまいます。自分がライターになりたいからと、その情熱に固執すれば他の仕事を見つける機会が減ってしまいます。 実際のところ、自分が得意なことで、人のためになること、熱中できるタスクのある仕事をすれば、その仕事に対して情熱を感じるようになることは多くあります。 最も重要なのは、6つの要素を満たす仕事を見つけることであって、現時点で情熱の注げる仕事をすることではないとのことです。世界のためになることをするのが一番大事
このガイドでは結論として、情熱に従うとかではなくて、自分の得意なこと、人のためになることをして感謝されれば、やっていることに対して情熱が生まれます。また人のためになろうとすれば、周りの人も自分を助けてくれます。研究でも「誰かのために」というマインドセットを持つ人は成功しやすいと分かっているそうです。
まとめ
いかがだったでしょうか。英語のサイトですが、ここまで詳しく信頼のおける内容を書いたサイトは他にないと思いますので、キャリアパスで悩んでいるという方や、これから就職活動をする学生の方などは是非読んでみてはいかがでしょうか。